学長挨拶

文星芸術大学 学長
田中久美子

5つの理想を掲げて歩む

本学の立志・創立

文星芸術大学は、栃木県宇都宮市にあって、先進的芸術教育の実現を志し、5つの理念・理想を掲げて1999年に創立しました。

1. 充実した教育体制

教授陣に、優れた作家、芸術家、研究者、教育者を迎えて、充実した教育体制をつくります。

2. 新しい創造観に立った内容編成

教育内容が芸術的創造そのものの進歩発展に即したものであり、その内容を、組織的、体系的に指導します。新しい芸術観、創造観に立った教育内容を編成し、基礎から専門へ、専門から応用・発展へと積み上げていく教育課程を構築しています。

3. 人格的感化をともなうはぐくみ

指導者と学習者が人格的感化をともないながら接触し、直接的授受として行われるものこそ芸術創造においてのはぐくみかた、学びかたです。その授受が確実に行われる場面を重視し、本学は、「工房主義」をよりどころに、指導に力を入れています。

4. 夢のある学び舎

芸術を学ぶためには、夢のある教育の場でなければならないと考えます。楕円の空間が幻想的なデッサン室、各専攻のアーティスト、クリエーターの卵たちが制作に没頭できる個性的な実習室、四季折々の表情を見せる実習庭園、最新の機器を備えたコンピュータ室など、学習する者の夢と希望にこたえる施設を整えています。

5. 世界に発信する芸術

現在日本は、混沌とした世相となっています。世界からの信用を得るのは、今が一番大切な時だと思います。私たちが考えることは、日本の伝統文化のすばらしさを世界に発信することです。油画・日本画・染織・陶芸・彫刻など、古くから学ばれてきた芸術分野をしっかり踏まえつつ、新しい発想も大切に考える、ほかにない大学であると自負しております。昨今はマンガ、映像、デザインにも力を入れています。また地域連携も大切です。芸術文化が日本を変えてゆくと信じて、世界に羽ばたく文化人を生み出す大学となることを、心から念じております。

メッセージ

2022年度より、文星芸術大学の学長に就任することになりました。

今、社会は大きく変動しています。AI技術の急激な進展はこれまでの私たちの生活のあり方を変え、ここ数年来の新型コロナ感染の拡大は社会的な活動を抑制し、戦火におびえる今日の世界情勢は人々に悲しみと恐怖を与え、私たちは社会的にも精神的にも揺さぶられています。

こうした厳しい状況のなかにあって、人々が心の平穏と心のつながりを取り戻し、あらたな日常を創り上げてゆくことがこれまで以上に必要とされています。そして芸術の果たす役割があらためて認識されているように感じます。

デザイン・マンガ・総合造形という3つの専攻からなる本学は、個性と多様性を重視した芸術の教育・研究に取り組み、独創的な表現や新たな価値観を創出し、社会に貢献できる人を育成することを目指しています。変動の時期ともいえる今日、本学に求められる役割は大きいといえるでしょう。

文星芸術大学がここ栃木県にある、ということも重要です。本学が取り組んでいるのは、地域社会と連携し、芸術文化によって地域の活性化することです。地域の人々、企業や自治体などと連携をしながら、これまでも多くの事業を行なってきました。地域に根を張り、ともに成長しているということも、この大学の強みになっていると感じています。地域社会から求められる人材を育成し、地元に愛され、そして世界に芸術文化を発信していける大学にしていきたいと思っています。